超硬合金の起源
「必要は発明の母」と言います。
第一次世界大戦のおり、地中海を遮断されてアフリカのダイヤモンドが入手できなくなったドイツはダイヤモンドの代用品をなんとかして開発しようとしました。
これがオスラムランプ社の製品開発に繋がったと云われております。
1926年(大正15年)ドイツ最大の製鋼会社クルップ社がオスラムランプ社から超硬合金製法に関する特許を譲り受けて工業化に成功しウイデイアを世に送り出しました。
この商品名ウイデイア(WIDIA)はWIEDIAMANT(ダイヤモンドのような)という言葉を表したものです。
1927年には米国ゼネラルエレクトリック社がカーボロイ(CARBOLOY)を1928年には我が国で東京芝浦電気がタンガロイを開発しました。
昭和9年版の機械工学便覧には「硬質合金としてドイツのウイデイア、米国のカーボロイ、日本のタンガロイがある」と書かれています。
超硬合金の概念
超硬合金は近世における大発明の一つに数えられ、神が人間に依属して完成させた傑作であると云われいる程まことに素晴らしい合金であって、我々地上に存在するもののうち最高の硬さと最高の圧縮強さを持った物体であります。
勿論その硬さはダイヤモンドには及びませんが、ダイヤモンドは小さい粒子に限られているので一般的な用途に使用する事はできません。
また脆いので大きな力の加わる所に使用する事もできません。
そこに超硬合金の広大な応用分野が待っているわけです。
一般に使用されている超硬合金の組成は非常に硬くて耐熱性の高いところのタングステンカーバイト(WC)、チタニウムカーバイト(TiC)、タンタルカーバイト(TaC)などを ジン性の大きいコバルト(Co)でセメントした合金であって粉末冶金という方法で製造されます。
そしてそれらの超硬合金の性質は その成分の種類と状態と配合量を変える事によって広い範囲に変化させることができますので、色々な用途に適合するように製造することができます。
以上のような訳で この超硬合金は近代産業の能率向上の花形として色々な工具、様々な金型などに広く使用されております。